PROFILE

I・T
業務部 購買グループ 購買チーム主任
県内大学の経済学部を卒業後、2014年に新卒入社。大学の先生を通じて南日本造船を知り、「ものをつくる」仕事と地元大分の企業であることに興味を持ち志望。入社1年目は現場で経験を積み、2015年から購買グループに配属。購買グループで最も長い10年のキャリアを持つ。
スキルや知識がなくても、「船をつくる仕事」はできる
大学では造船や工学とは無縁の分野を学んでいました。 専門的なスキルや資格もなく、正直、“船をつくる”という世界は自分とは遠い場所だと思っていました。それでも就職活動の中で南日本造船に出会い、「この会社なら、“つくる側”として関われるかもしれない」──そんな直感があり、飛び込むことを決めました。
気づけば、入社して10年が経ちました。
今は、“船を形にする”ために欠かせない資機材を調達する仕事=購買を担当しています。
調達する部品は、数十万点。まさに裏方の司令塔

私たち購買担当の役割は、 それらを「いつ・どこから・どの価格で・どんな品質で」調達するかを決めること。
現場の人たちが滞りなく作業できるように、スケジュールとコストと品質、全部をコントロールしていきます。
たとえるなら、現場の“調達ナビゲーター”のような存在かもしれません。
そしてもう一つ、この仕事の大きな責任があるとすれば、調達にかかる費用が、船の建造コストの約6割を占めるということ。だからこそ、一つひとつの判断が会社の利益に直結するんです。
値段だけで選ぶと、品質や納期でトラブルになることもある。 かといって、安全性ばかり重視すればコストが膨らむ。
その絶妙なバランスを見極めるのが、購買という仕事の醍醐味でもあります。
知識よりも、“話を聞く力”と“信頼関係”

購買の仕事って、理系の専門知識がなくても問題ないんです。 実際、私も最初は何もわからない状態でした。
それよりも大切なのは、「相手の話をきちんと聞けること」「自分の言葉で説明できること」。お取引先との交渉も、ただ価格を安くしてもらうのではなく、お互いに納得できる条件を探していくことが大切です。
いわば、こちらも、相手も、無理をしない“Win-Winの関係”を築くこと。 それが、長く信頼関係を続けるための基本だと感じています。
いい商談ができたときには、 「あなたが言うなら、それでやりましょう」 と言ってもらえることもあって── あの瞬間は、本当に嬉しいですね。
失敗を次に活かせるチームでありたい

たとえば、発注ミスや納期遅延が発生しても、チームでカバーし合って、次にどう防ぐかを考える。だからこそ、今は「自分だけが分かっている仕事」を減らすために、マニュアルの整備やナレッジの共有にも取り組んでいます。
完璧じゃなくていい。でも、ちゃんと前に進める。
そんな空気があるから、ここまで続けてくることができました。
10年の経験を、次の誰かの“はじめの一歩”に

そして今、自分の役割は「現場を支える」だけでなく、次に入ってくる人たちが安心して挑戦できる環境を整えることにもあると考えています。
だからこそ、「誰が担当しても同じように進められる」ように、業務の流れをマニュアル化したり、緊急対応の基準を整えたり
──次の世代につなぐ仕組みづくりにも力を入れています。
働き方も、大きく進化している
南日本造船は、2018年に今治造船グループの一員になってから、働きやすさの面でも大きく整備されてきました。今では土日休みが基本で、長期休暇も事前にしっかり確保。残業もかなり少なくなり、「定時に帰る」ことがスタンダードになりつつあります。“長く続けられる仕事かどうか”は、実はすごく大切な視点。
その点でも、安心して働ける環境が整っています。
“船づくり”を支える、もう一つの“ものづくり”

直接手を動かすわけじゃなくても、「この機械を、ここに届ける」「この部品を、今日までに揃える」そんな自分の判断ひとつが、巨大な船の完成に直結するのです。
「自分は手を動かすのは苦手だけど、ものづくりに関わりたい」
そう思っている人にこそ、知ってほしい仕事です。
巨大な船が動き出す──その裏側に、自分の仕事がある

でも、自分が判断し、届けた部品が一つ一つ組み合わさって、最終的に“海に浮かぶ巨大な船”になる。そのことを知っているからこそ、一つひとつの選択に、責任とやりがいがあります。
そして今、世界中で2050年カーボンニュートラル達成を目指す中で、船も“CO₂を出さない”次世代型へと変わっていく必要があります。 調達する部品も、設計も、すべてがアップデートされていく中で、購買の役割もますます重要になっていると感じています。
南日本造船が今治造船グループに加わったことで、海外からの案件や、最先端の船づくりにも関われるチャンスが確実に増えてきました。 だからこそ、社員一人ひとりが活躍できるフィールドが、実際に広がっていると実感しています。
世界の大海原へと進み始めた船に、自分が関わった“証”が残っている。
それが、購買という仕事の誇らしさです。
まずは、のぞいてみてください

ものづくりって、意外といろんな関わり方ができるんです。
もし少しでも興味があるなら、船をつくる現場をのぞいてみてください。
“自分の知らなかった仕事”が、案外しっくりくるかもしれません。